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目標:ゲームを大きな枠組みと小さな枠組みで捉えて言葉で表現すること。

18/19 EL クラスノダール 対 バレンシア 2ndレグ マッチレポート【初見チーム】

 この試合を選んだ理由は、全く知らないチーム(特にクラスノダール)の試合をみて考察することで先入観に囚われず分析ができると思ったから。クラスノダールがロシアのチームであることもさっき知った。

 

 両チームのスタメンとフォーメーションの確認。

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番号だけなのは、ごめんなさい。番号でいきます。

 クラスノダールは4-3-3, バレンシアは往年の4-4-2でのスタートとなった。バレンシアに関しては、一度マッチレポートを書くために見たときの印象で行くと、しっかり4-4-2の形を保ちつつ試合を進めていっていた印象があるが、クラスノダールは全くの未知数だったので、(おそらくそういう方が多いと思われる)クラスノダールの試合の運び方に注目してみていきたい。

 

 前半(試合のキー抜粋)

クラスノダールのビルドアップ〜フィニシュ

 クラスノダールのビルドアップは2CBとDMFの8番によって行われる。バレンシアの2FWに対しての形としては定石であろう。8番は2CBと三角形を作る形でバレンシアの2FWの背中側でボールを受けようとしたり、CBの間に落ちてボールを動かすという形で前進を試みていた。

 その際両SBは高い位置を取り、基本的には大外のレーンを担当した。そして本来大外であったSFW(サイドフォワード)がハーフスペースに落ちてビルドアップの逃げ口となっていた。

 そしてバレンシアの2列目の4人をクラスノダールがどう攻略しようとしていたかを探っていきたい。バレンシアの守備は非常に洗練されている印象で、ボールがサイドから逆サイドに移動しても簡単に選手間を開けず、常にコンパクトネスを保持し続けるという特徴がある。よってバレンシアの選手を横に揺さぶってもなかなか効果的に攻撃ができない。そこでクラスノダールが取っていた形が、AMF(アタッキングミッドフィルダー)がバレンシアの2列目から1列目に落ちるような動きをすることで、バレンシアボランチを”縦に”ずらす事だ。これにより、バレンシアの2列目に段差を生み出し、その穴に前向きのCBと8番が、ハーフスペースに流れた選手までグラウンダーパスを通せていた。前半これが如実に現れたシーンが11分のクラスノダールの攻撃だ。今述べた形でバレンシアの2列目を攻略し、ハーフスペースで前向きでボールを受けた16番がチャンネルを通し走り込んだSBの6番がクロス。最後は9番のシュートがゴールネットを揺らしたが、ハンドを取られノーゴールとなった。

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 やはりここで目立ったのが両AMFの動きの質の高さだ。場合に応じて自らが2列目の背後にポジションしたり、非常に多様だった。特に、14番の選手は個人的にも見ていてとても面白いプレイヤーだった。

(気になって調べてみたところ、クリストファー・オルソンというスウェーデン出身の選手で23歳ながら代表にも招集されていた。そして何より、アーセナルに所属している経歴がある。!!今年の1月にALKからこのチームに移籍してきた。市場価値も急激に上昇しており、楽しみな選手であることは間違いない。)

 

クラスノダールの守備

 クラスノダールの守備時の基本陣形は4-5-1だ。バレンシアの4-4-2とのかみ合わせで行くと、1トップ対2CBの形を作られてしまい、数的に不利になる。ここで考えられるのは、第1プレッシャーラインを下げ、CBに簡単に突破されないようにすることだ。しかし、クラスノダールが取った形はもっと積極的だった。ここでもキーになるのは2人のAMFだ。

 まず、バレンシアのCBがボールを保持すると、クラスノダールの1FWはボール非保持のもう片方のCBをマークもしくはカバーシャドーしながらプレスをかける。そしてボールを保持している側のCBには同サイドのAMFが縦にスライドしながら、ここでもバレンシアボランチをカバーシャドーで制限しながらアプローチしていく。そして、CBがSBにパスを送れば再びボランチのマークに戻る。この流れで前線の守備における数的不利を解消し、積極的な守備を実現していた。

 バレンシアとしては中央のCB, ボランチでボールを上手く展開出来ずに、サイドを経


由したり、中盤を飛ばしたパスが増えていた印象だ。中央で主導権を握って守備を出来ていたクラスノダールは、サイド、トップの選手に対してマンツーマン気味の守備で縦パスに対して厳しくボール奪取を試みていた。

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前半のバレンシア

 クラスノダールの巧みな試合を運びに苦戦したバレンシアだったが、守備面ではそれぞれの列の間を狭く、縦にコンパクトにすることで対応しようとしていたし、(監督がそんなジェスチャーをしているのが頻繁に見られた)攻撃面においても、カウンター、サイドからの展開でチャンスにつなげることは出来ていた。

 

 後半

両チーム通じての前半からの変化

 後半に入ると、バレンシアは縦に引き出されることがなくなり、2列目がしっかり機能して守備ができていた。しかしそのかわりにビルドアップに対して数的不利な状態が続き、押し込まれるシーンが増えていたようにも感じる。

 一方のクラスノダールはそんなバレンシアに対してじっくりと攻撃を進め、狭いながらもハーフスペースに選手を位置させ、攻撃に厚みを持たせていた。そんな中で途中出場のスリマノフのスーパーゴールで待望の先制点を挙げた。

(スリマノフの読み方はあってるか分かりません。この選手も19歳と若く、非常に注目される選手)

 ただ、アディショナルタイムに値千金の同点ゴールがバレンシアに生まれ同点でゲーム終了。2試合合計3-2でバレンシアが勝ち上がった。

 

 

 たまたま選んだ試合だったが、予想以上の熱い展開で、おもしろかった。

後半やっぱり粗くなるので、頑張ってまんべんなく見れるようにしたいです。

 

2019 Jリーグ 第1節 横浜Fマリノス vs ガンバ大阪 レビュー 【マリノス攻撃編】

 今年もいよいよ幕が開けたJリーグ。このブログでは横浜Fマリノスを中心に追っていきたい。

 ということで、今回見ていくカード横浜Fマリノス vs ガンバ大阪です。

・スタメンと並び

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マリノスの攻撃とガンバの守備【マリノス流動性

 昨シーズン、偽サイドバックに代表されるような印象的な配置を試みていたマリノスであったが、今シーズンもその形は継続されそうだ。ビルドアップ時には両SBの高野と広瀬がハーフスペースに入り込みプレーしていた。ただ、そのスペースを使っているのが常にSBではない所は見逃せない。特に右サイドの広瀬と三好は頻繁にポジションチェンジを行なっていた。人が変われど、それぞれがスムーズにポジションに入っており、結果的には多くのビルドアップで5人が関わっていた。

 一方のガンバの対ビルドアップの守備は、アデミウソンとファン・ウィジョの2FWは横並びでマリノスの最終ラインの前に陣取った。ただ、前述の通り、マリノスのビルドアップ隊は少なくとも5人いるので、2人で相手にプレッシャーをかけても効果が薄いため、ハーフスペースにいるマリノスのプレーヤーに対しガンバCMFもしくはSMFがプレスをかけて対応しようとしていた。

 マリノスはハーフスペースのプレーヤーにマークがついてしまった場合は、さらにその外側のレーン(大外)にOMFが落ちて逃げ口になっていた。ここまでするとそれ以降の攻撃に厚みが無くなりそうだが、決してそんな事は無かった。何故か。ここでのキーワードは流動性だ。ここからその2列目〜ファイナルサードマリノスの前進方法を見ていきたい。

 マリノスの崩しは、基本的にワンサイドでのオーバーロードによって遂行される。試合全体をみても、マリノスのサイドチェンジのロングボールはほぼ見られなかった。具体的には、まず、トライアングルの形成が挙げられる。このトライアングルには2種類あり、ビルドアップの結果次第で使い分けられる。

 まず一つ目、ハーフスペースに位置したプレイヤーがビルドアップの逃げ口となり前を向いた時は、ハーフスペースに2人、大外レーンに1人のトライアングルが形成される。もうひとつは、大外レーンでボールを受けて前を向いた場合、先ほどとは対称の形、大外レーンに2人、ハーフスペースで1人が頂点になって形成されるトライアングルだ。

 どちらの場合も、それぞれのプレーヤーがスペースを把握し、状況に応じたポジショニングを取っていたため、確実にガンバの2列目の守備の基準点をずらすことに成功していた。この流動性は、どちらのサイドでも見られた。

 さらに、オーバーロードという点では、トライアングルに加えて、喜田、逆サイドのOMFが関わることでさらにワンサイドに厚みを持たした攻撃となっていた。そして、センターのスペースのマネジメントをしていたのは逆のSBという場面が多かった。

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上の配置は、三好のゴラッソが生まれた一連の崩しの展開の時の配置だ。右サイドでのオーバーロード、ガンバの選手間に適切にポジショニングすることで、最終的には、CBの三浦をサイドに引き出し、そのスペースを埋めようと戻った遠藤、高の両ボランチがさらに開けたスペースに位置取った三好がこぼれ球をフリーで納め、ゴールをゲットした。相手の4−4−2の隙をきっちり突き、数的にも位置的にも優位に立つことで、生まれたゴールと言える。
 

 

...本当に書き切れた試しがない。頑張ります。

 

18/19 EL セルティック 対 バレンシア 1stレグ

今回は、セルティックバレンシアの試合について書きたいと思う。

まずは、スタートポジションの確認から。

前半

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後半

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 いくつかのサイトには、セルティックはブラウンとマクレガーの2DMFとあったが、僕が見る限り、4-3-3(4-1-4-1)でプレーしていた。4-2-3-1は後半からだった。

 かみ合わせを考える。配置だけを見れば、キーポイントになりそうなのはバレンシアセルティック8番のブラウンに対しどう振る舞うかであろう。2FWの動き次第では、ビルドアップが容易に行われてしまう可能性もある。

 それでは実際の試合を見ていきたい。試合全体の展開としては、セルティックのボール保持、バレンシアのカウンターが主であった。各スタッツは、ポゼッション64/36,総パス数790/435, (セルティック/バレンシア)と、セルティックがボール保持していたことがわかる。

 試合を通してボールを保持していたセルティックだったが、大事になるのはどこで、誰が、どのようなパスによって保持していたか、だ。データによると、最もパス数が多かったのは、CBのシムノビッチで157本、次いで同じくCBのボヤタで130本だった。この数字は両チーム含めての1,2位でもあった。(ちなみに、3,4位はセルティックの両SB。)次に、どこで保持されていたかは、タッチ数を示したヒートマップを用いる。

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右がセルティックで、左がバレンシアだ。後述するが、バレンシアの1stDFラインがセンターラインの少し前だったことを踏まえると、DF4枚+DMFでボールを保持していたことが予想される。実際の試合を見てもその印象が強かった。もう一つ、保持の中で効果的なパスを供給出来ていたかを測るために、キーパスの数字を挙げておきたい。セルティックのキーパスは試合を通して4本で、ブラウンとマクレガーが1本ずつ、クリスティーが2本だった。よって、ボールを保持していたものの、効果的にチャンスに繋げられていなかったことが推測できる。

 では、セルティックのビルドアップ以降の攻撃を封じたバレンシアの守備とはどのようなものだったのか?詳しく考察していきたい。まず1stDFである2FWは、センターラインの少し前に陣取った。そしてSBにはSMFがついていっていた。特に前後半通じて、中央のエリアでセルティックに2CB+1DMFもしくは2CB+2DMFの数的優位を作り出されており、数では完全に不利な状態が続いた。

 しかし、簡単にこのラインが突破され、バレンシアの2列目の前(特にピッチ真ん中)でセルティックにボールを持たれることは少なかった。これを可能にしていた2FWの動きとしては、DMFが彼らの背後にポジションを取っている時や、CBにアプローチに行く場合、確実にCBからDMFのパスコースを背中で切って制限をかける事が挙げられる。もし、DMFが彼らの前にポジションした場合、無理にCBには行かず、MDFにパスが入ったタイミングでプレスをスタートさせた。これは、前後半でセルティックが配置を変更しても機能していた。3枚もしくは4枚に対して2枚で対応ができている事によって、その他のエリアで安定した守備が実現していたように思う。

 

一旦。続きを書くかは気分。

18/19 PL 23節 トッテナム対フルハム(前半)

スタメンとポジション

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トッテナムは主力の抜けがすごい。結果的にこの試合でもアリが離脱するし、どうするのよ。

フルハムは、19位か。。。ラニエリ頑張って。

 

前半 

 フルハムの序盤は積極的に前線の3枚が相手の3バックにプレスをかけ、WBが相手のWBを潰しにいっていた。ボランチに関しても、エリクセンとウィンクスにはボールが入る瞬間に寄せることで簡単に前を向かせないようにしていた。そんな相手に対し、トッテナムはロイスを含めたCB,ボランチでボールを動かしながら、相手の3バックとボランチの間が伸びたところに2シャドーを落とし、ロングボールを配給する形をとった。しかし、フルハムボランチ2枚、縦スライドが早い。プレスバックによって形を作らせない。

 

 

前半の中盤になって、フルハムの前線からの守備が少なくなり、落ち着いてボールを保持するようになったトッテナム。ただ、フルハムの撤退加減が徹底されており、なおかつ中央に人を集める守備のため、簡単にゴールとはならなかった。守備時には5-4-1の中央圧縮でなんとか耐え抜くフルハム。なかなかトッテナムは相手の3守備ベクトルを変えられなかった。というか対応されてた。

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16分、フルハムはカウンター時、センターフォワードをサイドに張らせて、サイドハーフとウィングバックの追い越しでワンサイドで数的優位を作り、縦に速い攻撃でCKをゲット。そのCKでジョレンテオウンゴール

こうなるとますます守備的になるフルハム。どうする。トッテナム

彼らの回答として、2つ挙げられる。

1つ目は、ボランチ2枚を縦に並べること。特に、エリクセンをシャドーに近づけ、ウィンクスがアンカー的な役割となることが多かった。そうすることで相手の2ボランチに真正面からプレスを受けることが減少した。なおかつ、そうすることで元々自由に動いていたシャドー(特にアリ)が更に自由度を増し、ローズとフェルトンゲンの対角線上で効果的な仕事ができる回数が増えていた。

2つ目。プレッシャーが減ったことも奏して、3バックの選手(特にフェルトンゲン)が一つポジションをあげてアンカーとなったウィンクスの横でプレーしていた。この変更は中央圧縮のフルハムにとって対応の難しい問題となった。まあ、トッテナムの選手からすれば前のスペース開いてるから出たのは当たり前かもしれないけど。しかし、これによってトッテナムは攻撃の厚みを増し、ポゼッションは70%に達した。

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このあとも、好機を演出するトッテナムだったが、フルハムの一貫した守備体型を崩すことはできなかった。

そんな感じで、前半終了。